【クジラマイク】はなぜPA業界で愛されているんだろう?
実際のチェック音源と専門家のレビューが見たいな!
こういった人向けの記事です。5分ほどで読める文章量。
この記事を読むとSENNHEISER MD 421の特徴がわかります。
記事の後半で実際にマイクチェックしている音源も出てきます。
- PAカンパニーに所属
- 音響歴10年
- ライブハウス経験
- RECスタジオ経験
- 大規模ツアー経験
- ホール音響経験
- 舞台調整技能士二級
- 第二種電気工事士
※紹介制度があるサービスは紹介リンクを貼っています。
クジラマイク・ゼンハイザー MD421レビュー【音質と特徴】
こんにちは。マイク大好きPAのイチローです。機材って…いいですよねぇ。シミジミ…
で、今日の機材は【SENNHEISER MD 421】です。ダイナミックマイクの名機として長年現場で愛されています。
クリップ式のマイクが登場するまでは、あらゆるドラムに使用されていて、PA現場感覚でいうとマイキングが大変だった。
いい音なんですけどね…ヘッドが重たいんですよね。タム周りに立てちゃうとスタンドがかさばるし。
そんなわけで、最近はもっぱらクリップタイプが主流になっちゃいました。421はレコーディング向きの印象かな。
ちなみにギターアンプにはまだまだよく使われている。ディストーションギターのエッジが立ってかっこいいんだ。
今まで紹介してきたダイナミックマイクはボイス向けの物が多かったけど、このMD421は楽器向けのマイクかなって思う。
昔のガレージロックの人はボーカルに使ってる人もいるけどね。
【SENNHEISER MD 421】のイチローの印象はこんな感じだよ
- おじさんたちは【クジラ】って呼んでる(若い人はあんまり言わない)
- アタック感が強くて、あらゆる楽器でロック向きなサウンドが得られる
- マイクホルダーが特殊なので、現場で使うなら予備品の準備が必要
- マイク本体が大きいので、マイキングが大変
クジラの形に似てるから【クジラマイク】なんだね
年配のPAさんだけだけどね【黒クジラ】なんて呼ぶの
昔のMD421は黒じゃなかった時代もあるんだよ〜
だからおじさんたちは【白クジラ・黒クジラ】って言うのかぁ
年代によって使われているパーツも違うから
音質もかなーり違うんだよ
なるほど…今日は一番よく使われている【黒クジラ】の話ね
歴史を辿ればとても長い話になってしまうMD421。初代は1960年発売っていうんだから驚きですよね。
そのころから、大きな作りは変わってないんだもん、70年間も愛されているマイクってほんとすごい。
白クジラ・灰色クジラ・ゴールドクジラを経て、現代の黒クジラになったMD421。
マイナーチェンジを繰り返して、そのサウンドはゼンハイザーの求める完成形に一歩づつ近づいています。
今日はそんな【SENNHEISER MD 421】ってマイクについて、ちょっと詳しく考えてみることにする。
ゼンハイザー MD421の指向性&スペック・特徴について
中低域の集音に優れ、更に5段階切替のローカットフィルタを内蔵、低音域を絞ることによりシーンに合わせた調整も可能です。ボーカル用マイクだけでなく、楽器録り、特にドラムのキック/タム録りにおススメです。定番のオールラウンダー、バリエーションの一つとして是非お薦めしたいマイクです。
サウンドハウスより
スペック的に見ると【MD-421】はこんな感じのマイク
- プラボディだけどドラム周りに使われているだけあって耐久性が高い
- 指向性が鋭く、周波数特性が広い、ホルダーが取れやすい(泣)
- フィルターが付いていて5段階も調整の幅がある
そんなにホルダー取れやすいの?笑
既存のままじゃダメだね・・・
ビニテでぐるぐる巻きにして使ってる現場とかあるよ〜笑
なんでそんなホルダーにしちゃったんだ…泣
フィルターが5段階っていうのはどこだろ?
これもわかりづらいんだけど…
コネクターの入力部が回転スイッチになっているよ
あ!それがスイッチになってるんだ!
確認しないと怖いね…色々あるなぁ421!
ポーラパターン的に言えば、ちょっと鋭めの単一指向性です。よくある形ではある。
周波数特性についてはこの後触れるけど、けっこうワイドな作り。上下共にちょっと広め。
ボディはマイクには珍しくプラ素材で作られていて、そう聞くと落とすと割れちゃいそうだけど、かなり丈夫。
どのくらい丈夫かというと、ハードヒッターのドラマーのスネアに使っても大丈夫なくらい丈夫。
音質もロックでかっこいいし、ボディも味わい深い。往年の名機にふさわしい作りになっている…
って思うけど、ホルダー。てめぇだけはダメだ。怖すぎてそのままじゃ現場で使えん。
これ…なんとかなりませんかね?ゼンハイザーさん…
ゼンハイザー MD421を実際に使ってみた・音質の特徴
ってわけでMD421も倉庫に転がっていたので、実際にワンツーしてみます。
楽器用…とか書いちゃったけど、もともとはボイス向けに作られたカーディオイドマイクだからね。
ワンツーでなんとなく質感つかんでもらって。ね。よろしくお願いします。
作業環境はいつもの通り。スピーカーはNEXO-P12を使用。アンプはNXAMP-MK2。HAとフィルターは写真の通り。ミキサーはRIVAGE。
実際にワンツーしてみたMD421の音源がこちら
お〜、なんだか特徴的な音!
カラッとしてるというか…
今まで紹介してきたダイナミックマイクとは
ちょっと違う質感だよね〜ヌケが良くて明るい印象
基本的に平坦なグラフに見えるけれど…
5KHzあたりにポイントを持ってきてる
カラッと明るくなる帯域にピークを作りたかったんだろうね
だからエッジが立った音に聞こえるんだね
うん、それとMD421は周波数特性が30Hz〜17kHzなんだよね
これはshure系のボイスマイクに比べてもワイドな作りになっている
広い帯域を集音できるようになっているのね
そうそう、このへんの要素が複合的に合わさって
MD421っていうマイクのキャラクターができているんだね
まとめると【ゼンハイザー MD421】の音質はこんな感じ
- 高域に特性を持たせた明るい印象のマイク・5KHzピーク
- 打楽器の音ヌケがよく立ち上がりの早い音
- ダイナミックマイクの中でも高解像度なのでデジタル録音にも適している
- キック・タム・スネア、どのポジションに立てても申し分ないロックの音
クジラマイク・ゼンハイザー MD421レビュー【まとめ】
今日は”クジラマイク”でおなじみの【SENNHEISER MD421】について書いてみました。
うん、馴染みのある機材だったけれど、こうやって改めて考えてみると、自分でも新しい発見があったりしてとっても面白い。
自分の使っていた機材が、どんどん昔の世代のものになっていくのは悲しいけれど、まぁ仕方ないよね。
この業界ってほんと毎日勉強だし、新しい技術や機材が毎日出てくるような場所だし。
勉強することをやめてしまったら、職人はそれまでだよなぁ。自戒して今日は〆ようと思います。
今回も最後まで付き合ってもらって感謝、感謝です。
次回は【SANKEN CU-41】レビューしてみるよ
コンデンサーマイクの名機だね!
またみてね!
この記事の感想は個人による独断と偏見によるものです
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